-The Scarlet Pimpernel -
MINSKOFF THEATRE
『スカーレット・ピンパーネル(紅はこべ)』
作詞・作曲/ナン・ニグトン、フランク・ワイルドホーン
演出/ロバート・ロングボトム去年この作品を観劇した時の感想で駄作と書いたのを取り消さなければならない。 初日から約一年たってオリジナルの演出家ピーター・ハントに変わって『サイドショー』 のロバート・ロングボトムが演出し直し、メイン・キャストも一部入れ替わり、 新たなミュージカルとして最オープンした。 イギリス人のパーシーが、スカーレット・ピンパーネルと名乗りフランス革命でギロチン の犠牲となるフランス貴族を救うために戦うと云う英雄物語。 作り直されたこの作品の出来は見違えるほど素晴しい。 パーシー役はオリジナルのままでダグラス・シルズが演じた。 パーシーの妻マルガリーテはクリスティーン・アンドレアスに代わって 『ヴィクター・ヴィクトリア』のレイチェル・ヨーク。 悪役のチュヴィランはテレンス・マンからレックス・スミスに交代した。 三人とも申し分ない出来だ。
脚本のほとんどは書き換えられ、一幕の始めからオリジナルとは 良い意味で違っている。 衣装は大部分でデザインが改められた。 装置は前回とほとんど同じだが演出が良くなった為か、以前より生かされている。 フランク・ワイルドホーンによる曲は新曲が一曲加わったのみだが、 オーケストレーション(伴奏)が変わったため以前とは比べ物にならない ほど良く思えた。 以前はフランク・ワイルドホーン独特のポップス調の曲がフランス革命時代 を舞台にした物語には合わないように感じたが、伴奏が変わりより時代に 合った曲に聞こえるようになった。
今回のように初日をすでに迎えた作品に大きく手直しを加えるのは ブロードウェイでは初めてではないだろうか。 新たに演出を手懸けたロバート・ロングボトムの作品のまとめ方の上手さ には驚くばかりである。