A STOOP ON ORCHARD STREET

「ストゥープ・オン・オーチャード・ストリート」
8/7/03 初日
上演時間/ 2時間20分
上演日・開演時間/ 火、木、金、土 8:00  木、土 2:00  日 1:00、5:00
Manzer Theatre
197 E. Broadway
Tel. 212-239-6200

 1910年のニューヨーク。 ダウンタウンの貧困街を舞台に、ロシアからのユダヤ系移民たちの生活を描いていく。 富と名声を手に入れた一人の老人が、幼少期を思慕するという形式で語られ、ボードビルのスターになることを夢見る少年(老人自身)、貧困という現実から抜け出したい野心家の父、家族を想う慎ましい母を中心に、移民たちの生活が紹介される。  

 作詞、作曲、脚本、さらにプロデュースまで手掛けたのはジェイ・コロース。 ポスターからプログラムに至るあらゆる印刷物に彼の名前が大きく掲載されているため、知らない者にとっては如何なる人物かと疑問に思うが、実は全くの無名で同作品が処女作なのだという。 それだけに作品への期待も高まるが、残念ながら彼の作品に対する情熱のみが先行し、それが実際には空回りする。 つまり、机上の空論がそのまま現実化されたような印象を受ける舞台だ。 地方のコミュニティ劇場で上演される家族向けミュージカルといった表現も過言ではなく、開演後10分も経てば物語の結末が推測できるだろう。 

 総勢23名の出演者の歌唱力は優れているものの、演技が余りにもぎこちない。舞台に明かりを灯すだけの照明がそれを露骨にしているのも確かだ。 全26曲ものミュージカル・ナンバーは馴染みやすいメロディではあるが単発的。 作品を通して登場人物個々よりも、移民全体の生活の方がより詳しく紹介されるように感じるが、これはアンサンブルが歌うミュージカル・ナンバーが多いからかもしれない。

 脇筋として、祖国に残してきた婚約者との再会を夢見る青年も描かれる。 アメリカに必死の思いでやって来るが検疫で足止めされる婚約者。 連絡が途絶え絶望的に終わるかにみえる恋人たちだが、フィナーレで無事再会する。 これが単純明快でマニュアル通りに運ぶ物語の中で、唯一予期せぬ出来事だといえる。

 同類の題材を扱った作品には、「屋根の上のヴァイオリン弾き」、さらには「ラグタイム」や「ラグズ」などがある。 これらと同作品とを興味本位で比較してみるのであれば、観劇する価値があるかもしれない。  因みにキャスト版のCDなど関連商品が劇場のロビーで販売されているのだが、こういったグッズの生産よりも舞台そのものに予算を割いた方が良かったのではないかと、偏見なしに感じる。

 




A VERY MERRY UNAUTHORIZED CHILDREN'S SCIENTOLOGY PAGEANT

「ベリー・メリー・アンオーソライズド・チルドレンズ・サイエントロジー・ページェント」
12/18/03 初日  (1/4/03まで)
上演時間/ 1時間 (休憩なし)
上演日・開演時間/ N/A
John Houseman Theatre
450 W. 42nd St.
Tel. 212-239-6200

 トム・クルーズやジョン・トラボルタなどハリウッド・スターの信者が多いことで有名なカルト教会サイエントロジーを揶揄したミュージカル。

 SF作家としても有名な教団の創設者であるL.ロン・ハバードの半生を中心に描いていく同作品の出演者は全員8歳から10歳までの子役たち。 ちなみに、子供ミュージカルではなく正真正銘の大人向けミュージカルである。

 装置はプロセニアム・アーチ全体に飾られた風船や、虹色の垂幕など学芸会の雰囲気をたちのぼらせる。 カラフルな衣裳に至っては、ダンボール製のロボットの衣裳までが登場し、視覚と内容のギャップが絶妙だ。

 感動のフィナーレではドカ雪を降らせ、子供たちの体当たりの演技を敢えて見所とするなど、扱いにくいテーマを把握した上で笑いに徹する演出も面白い。

 特定のカルト宗教の揶揄を隠喩的ではなく、また子役のみを使って描ていく趣向は珍しく新鮮である。 そして、近年のオフ・ブロードウェイのミュージカルとしては破格となる、全席25ドルというチケット代を考えると、期間限定の上演が残念だ。

 


 



BLUE MAN GROUP

「ブルーマン・グループ」
11/17/91 初日
上演時間/ 1時間45分(休憩なし)
上演日・開演時間/ 火〜木 8:00  金・土 7:00  日 4:00、7:00
Astor Place Theatre
434 Lafayette St.
Tel. 212-254-4370, 212-307-4100

 この「ブルーマン・グループ」がニューヨークで上演されている演目の中で一番面白いという人は数多い。 スキンヘッドで青塗りのブルーマン3人組みによるモダン・ビジュアル・パフォーマンス。 物語はなく、また感動もないが斬新的なアイディアが楽しめるショウである。

 




BOOBS! THE MUSICAL
ミュージカル 「ブーブズ!」
5/19/03 初日 
上演時間/ 1時間20
分(休憩なし)
上演日・開演時間/ 月 8:00  水〜金 8:00  土 7:00、9:30  日 3:00、7:00  
Triad Theatre
158 W. 72nd St.
Tel. 212-239-6200

 "ブーブズ"(俗に言う"乳房")と、懲りずに奇抜な題名で誘う作品が次々と登場する最近のオフ・ブロードウェイはいかがなものかとも思う。

 1940年代から60年代にかけてアメリカのキャバレーで活躍したシンガー・ソングライターのルース・ウォーリスによる曲を使用し、様々なシチュエーションでの女性の魅力と男性との関係をコメディ・タッチで紹介していくレビュウ。 出演者は男女3名づつの総勢6名。

 次々と登場する低俗な衣裳や小道具が、性的魅力を売りにしたルース・ウォーリスの歌詞を盛り上げる。 ノスタルジックな感慨で曲を聴きながら、古き良き時代のパーティ・ジョークを楽しむ舞台かと思えば、必ずしもそうではなく、コントで取り上げられるネタはクリントン前大統領の女性関係を風刺したものなど比較的近代にスポットを当てたものが多い。

 ただ、単調なテンポで類似した場面が1時間も続けば、少々飽きを感じる。 休憩なしの1時間20分という上演時間は適確な選択だったと思う。

 




CAROLINE, OR CHANGE
「キャロライン、オア・チェンジ」
7/31/03 初日 
上演時間/ 2時間30分
上演日・開演時間/ 火〜土 8:00  水・土・日 2:00 
Public Theatre/Newman Theatre
425 Lafayette St.
Tel. 212-239-6200

  ケネディ大統領暗殺や黒人の公民権運動の拡大に象徴される1963年のアメリカ。 主人公は南部のルイジアナでユダヤ系の家庭に仕える黒人のメイド、キャロライン。 三人の子供を女一人で育てる彼女の心の変化を中心として、ユダヤ人と黒人との人種観念の違いなど、変わりゆく社会も含めて描いていく。 また脇筋として、実母を亡くし、キャロラインを母親のように慕う雇い主の子供ノア、ノアが心を開かないことに思い悩む義母についてなど、家庭問題も盛り込まれている。

 ちなみに、題名にある"チェンジ"とは物語の根底にあるテーマであり、この言葉にある多彩なニュアンス全てを意味している。 例えば、主人公キャロラインの心の"変化"や社会の"変化"を指した"チェンジ"。 また、劇中に少年ノアがズボンのポケットの中に小銭を入れたままにする癖があり、もし洗濯時にズボンのポケットから小銭が見つかった場合は洗濯係のキャロラインのものになると、義母が取り決める。 つまり、もう一つの"チェンジ"とはこの"小銭"を指し、お金としての意味合いである。

 詩のように、ほぼ前編が歌われるこの作品はミュージカルに分類するより、近代的なチャンバー・オペラと説明した方が適当かもしれない。 音楽を手掛けたのは「モダン・ミリー」のジニーン・テソーリ。 馴染みやすいメロディは多いが、各曲が余りにも短か過ぎるのが気になるところではある。 「エンジェルズ・イン・アメリカ」の劇作家トニー・クシュナーによるリベレットは意図的に叙情的な詞を避けかと感じるほど状況説明に忙しいが、浅く劇的に進まない筋や、複雑な内容を考えれば、物語の進行は把握しやすいのではないだろうか。

 洗濯機、乾燥機、ラジオ、バス、そして月など劇中重要な役割をするアトリビュート(いやゆる象徴物)は、すべて役者により演じられる。 他にも例を見ない手法が多く取り入れられた実験的なこの作品は、劇的な展開が多い舞台を観慣れていると、理解しにくいかもしれない。 キャロラインを演じるトニア・ピンキンズを筆頭に、出演者全員の歌唱力には説得力があるが、アメリカ南部を舞台に1960年代の社会の変化を綴った作品としては「ヘアスプレー」のほうが楽しめるようにも思う。

 




FAME ON 42ND STREET
「フェーム」
11/11/03 初日 
上演時間/ 2時間30分
上演日・開演時間
/ 火 7::00  水 〜土 8:00  水・土 2:00  日 3:00
Little Shubert Theatre
422 W. 42nd St.
Tel. 212-239-6200

 1980年公開の同名映画に始まり、後のテレビ・ドラマ版、そしてそれに続く1994年初演の舞台版は日本をはじめ世界各地で上演されてきたが、ニューヨークでの公演は今回が初めてとなる。

 舞台は1980年、校舎移転を控えた実在するニューヨークの芸術高校。 同校舎での最後の卒業生となる生徒たちの入学から卒業までの4年間を追っていく青春物語。

 満を持してのニューヨーク初演に際しては、脚本や音楽に大幅な手直しが加えられ、過去に上演された様々な舞台版とは大きく異なるのだという。 ちなみに、映画の挿入歌で、同舞台でも使用されたのは1曲のみ。 しかし結果、如何にして観客を喜ばせるかかといったことに要点を置いた低俗な舞台になってしまったのは非常に残念だ。 非識字者の黒人生徒や、歌手を目指すが麻薬に溺れてしまう中南米系の生徒など、物語の中核を成す生徒全員の設定が人種的固定観念にとらわれており、新鮮味に欠ける。 また、生徒を厳しく教育することを最善とする教師と、生徒を優しく見守り能力を引き出すことを最善とする教師の対立は作品の重要なテーマとして取り上げられるが、結局は曖昧な答えしか見出せない。

 必要以上に出演者の出入りの多い演出にも問題があり、振り付けに至っては単発的なものばかりで、ナンバーが始まると共に生徒たちが登場してダンスを披露、そして掃けるといったステージングが飽きもせず繰り返される。 若手中心の出演者による力強い歌唱力には納得がいくが、総体的な作品の纏まりのなさが足枷になってしまった。

 





FORBIDDEN BROADWAY
「フォービドゥン・ブロードウェイ」
5/10/01 初日
上演時間/ 1時間45分
上演日・開演時間
/ 月・火・金・土 8:15  水・土 2:30  土・日 3:30、7:30
Douglas Fairbanks Theatre
432 W. 42
th St.
Tel. 212-239-6200

 日本でも何度か来日公演された「フォービドゥン・ブロードウェイ」の最新版。 「ボーイ・フロム・オズ」や「ウィケッド」などの新作から「オペラ座の怪人」や「キャバレー」などお馴染みのミュージカルの数々を面白可笑しく風刺するレビュウ。 

 ブロードウェイで上演中の作品の多くを観劇してから観ればより楽しめる。 また観劇しながら食事が出来るようになっているが、無理をして注文しなくても良い。

 





GOLF

「ゴルフ」
11/18/03 初日
上演時間/ 2時間00分
上演日・開演時間
/ 水〜土 8:00  土 2:30  日 3:00、7:00
John Houseman Studio Theatre
450 W. 42nd St.
Tel. 212-239-6200

 ゴルフと演劇、通常は結びつかない両者を、多彩なコントと軽快な18曲のナンバーで掛け合わせつつ綴っていくミュージカル・レビュウ。 ゴルフの面白さ、ゴルフ中毒、そしてパター・ゴルフに至るまで、様々なシチュエーションでのコントが紹介されていく。  

 プロゴルフとしてではなく、娯楽としてのゴルフにより焦点を当てたのがこの作品最大の利点であるように思う。 ゴルフに対する知識がなければ多少退屈感を覚える可能性もあり、また工夫のない韻を踏んだ歌詞には首を傾げる。 一方、ゴルフに熱中する者に対する家族の不満など、掘り下げられたネタの幅広さは"ゴルフ好き"でなくとも好感が持てるだろう。  

 後半には観客参加型のパター・ゴルフのトーナメント(景品あり)が催され、同時に試合を観戦する場合の決まりごとがが伝授されていくのには製作者の遊び心が伺える。

 オフ・ブロードウェイの小劇場での上演だからこそ成立するこの舞台、女性に比べて男性の観客の割合が多いというのも理解できる。

 





I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE

「I Love You 夢の果ては?」
8/1/96 初日
上演時間/ 2時間00分
上演日・開演時間
/ 月・金・土 8:00  火 7:00  水・土 2:30  日 3:00、7:30
Westside Theatre
407 W. 43rd St.
Tel. 212-239-6200

 オフ・ブロードウェイでは1996年以来のロングランで、日本でも2003年に翻訳上演された。  

 様々なシチュエーションでの恋愛、そして結婚生活での本音や不満を、男女双方の視点で綴っていくミュージカル・レビュウ。

 型にとらわれた男女の関係を風刺するという魅力はあるが、それらが開幕から7年が経過した現代では多少古くも感じられる。 日本で翻訳上演された際の宣伝文句は、"とびっきりハッピーなミュージカル"だったが、事実を飛躍させて面白可笑しく語ったのみであり、決して軽快な作品ではない。

 ロングラン作品だけに総勢4名のキャストの入れ替わりは激しいが、順応性のある出演者の演技力が優劣を左右する舞台でもある。  時代に沿って内容を更新していけば、それなりに楽しめる舞台になるようにも思う。

   





MENOPAUSE THE MUSICAL

ミュージカル 「メナポーズ」
9/27/02 初日
上演時間/ 1時間40分(休憩なし) 
上演日・開演時間/ 火〜土 8:00  水・土・日 3:00
Playhouse 91
316 E. 91st St.
Tel. 212-307-4100

 タイトルは直訳して"更年期"となり、内容も題名どおりのミュージカル・レビュウ。

 舞台はニューヨークにある実在の老舗デパート「ブルーミングデールズ」。 アイオワ州の田舎から来た専業主婦、昼ドラの元人気女優、黒人のOL、そして菜食主義者で肥満症の女性が、セール売り場にある一枚の下着に同時に手を出すことから出会う。 4人は共通して更年期の女性たちで、共に不眠症、多汗症、そして老眼や整形手術への憧れなどの悩みを冗談交じりに、コミカルな歌とともに訴えていく。  

 劇中のナンバーは全て、「ヤングマン」、「ライオンは寝ている」、「恋のナイト・フィーヴァー」など、現在、更年期を迎える女性たちの青春時代にヒットした曲の替え歌。 例えば、「恋のナイト・フィーバー」は寝汗に悩む歌となり、「ライオンは寝ている」はソファなど至る所で昼寝する夫を風刺して歌う曲になるといった具合だ。

 出演者の歌唱力や表現力は素晴らしいが、同類の替え歌が約1時間半も歌われると、多少飽きを感じてくるのは確か。 内容に適齢する女性たちが中心となる観客の多くは十分に舞台を満足しているようで、婦人科学にオープンな心得で観劇すれば誰でも楽しめるように思う。 また、「マンマ・ミーア!」よりはウーマン・リブを感じる舞台でもある。

 余談になるが、近年ブロードウェイ・ミュージカルの衣裳デザインをテーマにしたファッション・フェアなども開催しているデパート「ブルーミングデールズ」が作品の舞台となり、更には協賛しているのを考えると、元来高級志向の同老舗が如何に大衆を対象にしはじめたのかが伺える。 もし今尚、高級志向を固守する「バーグドルフ・グッドマン」などの老舗デパートが舞台となれば、また内容も異なったのであろうかと個人的に興味深い。

 





THE MUSICAL OF MUSICALS

「ザ・ミュージカル・オブ・ミュージカル」
12/16/03 初日
上演時間/ 1時間40分
上演日・開演時間/ 月、火、金 8:00  水・土・日 2:30  日 7:30
Theatre at St. Peter's
619 Lexington Ave.
Tel. 212-239-6200

 ある物語を複数の作曲家が別々にミュージカル化したらどう異なるのかという、多少マニアックにも思える疑問をシミュレートしたのがこの作品。 以前日本で上演された「ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル」で、著名振付師たち各々のスタイルでラジオ体操をする一場面があったが、コンセプトはいずれも同じである。  

 家賃が払えないヒロインと彼女の良き相談相手、家賃を催促する悪徳大家、そしてヒロインのために滞納している家賃を代わりに払うハンサムな男性が繰り広げる単純明解な物語。

 この簡単な筋をもとに、ミュージカル界を代表する作詞・作曲家それぞれの様式をもって5回繰り返して上演する。 男女2人づつ、計4人の出演者が演じ、さらにはピアノ演奏もこなし、オスカー&ハマースタイン、スティーブン・ソンドハイム、ジェリー・ハーマン、アンドリュー・ロイド=ウェーバー、そしてカンダー&エッブが手掛けた知名度の高い作品を模写しつつ上演していく"もしもミュージカル"。  

 使用される音楽は同作品オリジナルだが、メロディは全て各作曲家の特徴を捉えており、詞は土台となる名曲をベースに面白可笑しく書き換えている。 また各作詞家のスタイルに合わせて韻の踏み方が変わり、また場面設定や登場人物の名前などが微妙に異なってくるのも特徴の一つ。 例えばオスカー&ハマースタインの場合は、カンザスのトウモロコシ畑を舞台にした土臭いものとなり、カンダー&エッブの場合はシカゴでハードボイルド性の高いものとなる。

 メロディ・ラインは全て紹介される作曲家たちの名曲に酷似しているため、ミュージカル・ファンであれば前奏だけでもモデルとなった曲やその作品名が頭に浮かぶだろう。 特に、ソンドハイムの複雑な韻を使用した詞をパロディ化したナンバーの数々には満足できる。 一方でロイド=ウェーバーに関しては、これまでにも様々な類似作品などのパロディが存在するため、新鮮味は感じない。 しかし代わりに、ホリゾントを使用したあえて簡単な仕掛に、ト書をわざと俳優が読むことで、ロイド=ウェーバー作品の必要以上に大胆な装置転換を揶揄するのは面白い。

 終始ものまねが中心となる「フォービドゥン・ブロードウェイ」に比べ、この作品はより製作者の観察力と役者の高度な技術があってはじめて成り立つ。 紹介される作曲家全員の作品を熟知していることが楽しめる秘訣ではあるが、たとえそうではなくても、この舞台で知識を広げることが可能だろう。

 





STOMP

ストンプ
2/27/96 初日
上演時間/ 1時間45
分(休憩なし) 
上演日・開演時間/ 火〜金 8:00  土 7:00、10:30  日 3:00、7:00
Orpheum Theatre
126 2nd Ave.
Tel. 212-307-4100

 数年前に来日公演も行われた。 男女8人のパフォーマーたちのリズム感の素晴らしさに圧倒される。 ニューヨークでよく見かけるストリート・パフォーマーたちの演奏とはまた一味違う迫力が味わえる。

 





THE THINGS ABOUT MEN
「シング・アバウト・メン」
8/27/03 初日
上演時間/ 2時間15分
上演日・開演時間
/ 月・水・
金 8:00  土 3:00、8:00  日 3:00、7:00
Promenade Theatre
Broadway at 76th St.
Tel. 212-239-6200

 「I Love you 愛の果ては?」の作詞・作曲・脚本チームが手掛けた新作ミュージカル。

 浮気症の夫に不満を持つ妻が、売れない芸術家と恋仲になってしまう。 2人の仲を引き裂こうとする夫は、妻の浮気相手のアパートにルームメイトとして住み込み、あの手この手で邪魔をするが、夫と芸術家にも友情が芽生え始め事態は悪くなるばかり。 仕舞いには、妻と2人の男達の間に不思議な恋愛関係が築かれていく。  

 「モダン・ミリー」でもみせたマーク・クディッシュの絶妙な喜劇のセンスはこの舞台でも健在。

 「I Love you 愛の果ては?」と類似する工夫のないプロジェクターの使用には頷けない部分もあるが、同じく工夫のない歌詞を考慮すると、我が儘になるかもしれない。  

 少なくとも、前作「I Love you 愛の果ては?」と比べれば、かなり内容が濃く筋の通ったコメディとなっており、昨今のオフ・ブロードウェイで少なくなった物語のあるミュージカル・コメディとして評価したい。

 



 

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